ALSとは

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは <ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis>

私たちは日ごろ手足や顔などの筋肉を、自分の思いどおりに動かしていますが、この筋肉を随意筋といいます。この随意筋を動かしているのが、脳からの命令を受けた運動ニューロン(運動神経細胞)です。

ALSは運動神経細胞が侵されることにより、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんと痩せ、力がなくなり、次第に動かしにくくなる進行性の病気です。一般には発症後3~5年で呼吸障害がおきると言われていますが、病状の進行は個人により非常に大きな差があります。

また、ALSは40代以上の人(発生の男女比は2:1)が発症することが多く、全国に約10,000人くらいの患者さんがいるとされています。稀な病気であり、原因不明の難病として国の指定する特定疾患の一つとなっています。

原因不明のための治療法はまだ確立されていませんが、近年、呼吸の補助や経管栄養・冑ろうなどの発達により、長期に療養することが可能になつてきました。また、原因追及の調査研究も進められており、対症療法の進歩は目覚ましく、よりよい療養ケアの推進も積極的に行われています。

Q & A

Q.どんな症状があらわれるの?
最初にあらわれる症状は、弱くなる筋肉の部位によって、大きく2つに分かれます。
1.手や足の筋肉が麻痺して、動きにくくなります。最初にこの症状があらわれる患者さんは、全体の約4分の3にあたります。
2.舌やのどの筋肉が弱くなり、しゃべったり飲み込んだりしにくくなります。このような症状は球麻痺と呼ばれ、これは全体の約4分の1の患者さんにみられます。

Q.症状が進むと?
症状が進行してくると、運動障害、コミュニケーション障害、嚥下障害の3つの症状に呼吸障害が加わります。最近の研究では、自律神経も障害を受ける事例があると言われています。しかし、意識や五感は正常で、知能の働きも変わりません。

Q.運動障害とは具体的に?
手や指に力が入りにくく指先が使いにくい、よくつまづく、歩いたり階段を上がるのに足が重たい、足や腕にだるさを感じやすく疲れやすい。
日常生活動作(歩行・移動・排泄・入浴など)が難しくなる。便秘をしやすくなる。
 *介助や福祉用具の利用が必要、排便コントロールなどが必要

Q.嚥下障害とは具体的に?
飲み込みにくい、むせる、痰がのどに絡む、唾がたれる、舌が縮む。
栄養不良、脱水、窒息を起こす
 *食事の工夫、点滴、経管栄養(胃ろう)、吸引、誤嚥防止対策などが必要

Q.コミュニケーション障害とは?
鼻声になる、しゃべりにくい、声が小さい、ろれつがまわらない、要望や意志がうまく伝えられない、精神的に不安になる
 *筆談、透明文字盤・口文字による会話、パソコン・専用機器でのコミュニケーション支援が必要

Q.呼吸器障害とは?
肺活量が低下する、全身がだるい、動くのがおっくう、早朝の頭痛がおこる。
呼吸がしにくくなり自発呼吸だけでは息苦しくなる。
 *人工呼吸療法(鼻マスク・気管切開)が必要

人工呼吸療法
1.鼻にマスクをあてて人工呼吸器から空気を送り込む方法。手術を必要としないので、非侵襲型と呼ばれています。
2.気管切開をして人工呼吸器をつけ、管を通じて直接気管内に空気を送り込む方法。手術が必要なので、侵襲型と呼ばれています